介護度5で歯医者さんに行ってみた

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おばあちゃんには上顎の左側の歯が2本あります。 犬歯とその奥の歯です。
その2本の歯に入れ歯を引っ掛けているため、いつも磨いて大切にしていました。

数日前のことです。 そのうちの1本がグラグラしていると、
お世話になっている宅老所の歯科衛生士さんから連絡がありました。

しばらく様子をみていたのですが、だんだんとグラグラが酷くなってきたので、
掛かりつけの歯医者さんに相談したところ、
「車椅子で来てくれれば何とかするよ!」と心強いお言葉を頂いたので、
その翌日に車椅子で連れて行くことにしました。

目次

案の定苦戦する

歯医者さんに到着すると先生がドアを開けて待っていてくれ早速レントゲン室へ。
そこからが大変でした。
案の定、おばあちゃんはとても嫌がり口を空けるのを拒否。

健康な人でも歯医者さんは苦手という人が多数いると思いますが、認知症があるとさらに難しい。
二人がかりでおさえて、なんとかレントゲンを撮ることができました。

30分頑張ったが断念

次にグラグラしている歯を先生に診て頂こうと、
「口を開いて~」と何度も説得するがやはり難しく、
ちょっと開いても、開き続けるのは難しい。

先生「これは無理だわ・・・」
僕の心の声「来る前からそんな気がしてました・・・」

全身麻酔のある施設でなら治療ができると思うけど、
95歳で全身麻酔は大変なので、歯は自然と抜けるのを待つことにしましょうとなった。

口の中も痩せてしまっているので、入れ歯の調整を試みるも、
入れ歯の調整は、入れ歯の出し入れが多いため、おばあちゃんは嫌がり、
なかなか口を開いてくれなかったり、先生の指に噛み付いたり(すみません 汗)で、
グラグラする歯に掛かるバネの切除と、ちょっとだけバネの調整して終わりになりました。

父が「認知症が出てから歯が残っていると管理が大変」と言うと
先生も「そうだよね・・・」とつぶやいていた。

日本歯科医師会では「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」と8020運動をやっていますが、
あれは健康な人に限りますね。

認知症が進むと拒否もあったりして、必ず歯を磨けるとは限らないし、治療するのも大変。

そんなわけで残念ながら介護度5のおばちゃんは歯の治療ができず帰宅することになりました。

認知症患者の歯の治療は無理ではない 障害者歯科という選択

その後調べてみたのですが、認知症の患者さんや、障害者さんのための障害者歯科というものがあることを知りました。
一般の歯科医院では治療できない患者さんにも対応してくれる歯科医院です。

対応できる患者さんは「障害者」「障害児」「要介護」と、
設備では「全身麻酔」「笑気ガス」「安定剤など静脈注射」などの設備があるかどうか書かれていました。


【日本障害者歯科学会 障害者歯科とは 】
http://www.kokuhoken.or.jp/jsdh-hp/html/user/index.html

歯科医によっては「全身麻酔が出来ない」「要介護の治療が出来ない」などもありますので、
事前に確認した方がよさそうです。

歯医者さんに行く前にこちらの情報を細かく伝えておく

今回の失敗の原因は、こちらの情報を歯医者さんに正確に伝えていなかったことです。

うちのおばあちゃんの場合であれば、

・認知症があり口を開いていられない
・じっとしていられない
・麻痺があり唾液の誤嚥でむせることもある
・血液サラサラの薬を飲んでいる

こういった情報を歯科医側に伝えて、その歯科医で治療が出来るか確認しておくことがとても大切だとわかりました。

先生に相談した時は、「なんとかするよ~」と言っていたのですが、
先生ももっと軽めの患者さんがくると思っていたのだと思います。
事前に認知症があることは伝えたのですが、口を開いていられない、誤嚥でむせるなどの情報を伝えていれば、「あ~うちでは無理だね」って言ってもらえた可能性もあります。
こちらのミスでした。

まとめ

認知機能が低下して、本人が歯科治療の必要性が理解できない、もしくは口を開いていられない場合には、普通の歯科医では対応できないことがわかりました。
そういった場合は障害者歯科に相談することをおすすめします。

本人が治療の必要性を理解でき、口を開いていられる、嚥下障害などないレベルであれば、
普通の歯科医に相談してみるのも良いでしょう。

その際は、予約の時点で本人の状態と薬について伝えることもお忘れなく。
入れ歯とお薬手帳は忘れずに持参してください。
(入れ歯は外して持っていきました)

最後に愚痴を聞いてください

近所の歯医者さんだったので、車椅子をおしてトコトコ出かけて行ったのですが、
行くときは良い天気だったのですが、帰るころには土砂降りの雨になっていました。
雨宿りしても止む気配がなかったので、自分だけ走って家に帰り、雨具をもって再び歯医者へ。
おばあちゃんを完全装備にして、3人で帰ってきましたが、
僕と父はずぶ濡れ。 トホホ。
30分も口の中をいじられた、おばあちゃんが一番の被害者だったかな。
いつの日か良い思い出になるのかな。 そんな日が来るのは当分先でいいですが。

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この記事を書いた人

1982年生まれ。 おばあちゃんに可愛がられて育つ。
脳梗塞で介護度5になってしまったおばあちゃんの介護を通して、感じたことを発信しています。

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