高齢者のたんぱく質不足を補う介護食用プロテイン

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たんぱく質は身体を作る上で欠かせない栄養素でありながら、高齢者のたんぱく質不足についてはあまり語られてきませんでした。
僕の周りのそこそこ年齢のいった方の中には「高齢者はあまり動かないから食べなくても良い」ということをいう人もいます。
高齢者のたんぱく質不足の根底には、昔からある価値観が一因となっているのかも知れません。
ですが、実際は高齢者こそたんぱく質を率先して食べる必要があるのです。

一方で高齢になると食が細くなったり、咀嚼嚥下の問題があったり、吸収力が落ちてしまったりと、栄養を摂る上でいくつもの問題を抱えているケースも多くなります。

その辺をふまえて、高齢者はどうしてたんぱく質不足になりやすいのか、たんぱく質不足になるとどうなるのか、上手にたんぱく質を摂るにはどうしたらいいか、について書いてみたいと思います。

目次

高齢になるとたんぱく質が吸収されにくい

たんぱく質は20種類のアミノ酸が80個以上鎖状に連結してできている物質で、言い換えるとアミノ酸の塊です。
連結したアミノ酸の状態では利用できないので、体の中では連結を切って分解する作業が行われます。
分解するときに活躍するのが、体の中で作られる酵素です。
酵素の力で、アミノ酸の塊を細かく分解しているのです。

たんぱく質からアミノ酸のイラスト

繋がったアミノ酸を2~80個程度の塊に分解したものがペプチド、単体まで分解したものがアミノ酸です。

体の中で作る酵素がたんぱく質を分解しているのですが、この酵素は年齢と共に生産量が減ってしまうので、高齢になるほど上手に分解できなくなっていくのです。
40代くらいになると、お肉や揚げ物を食べた後、胃が持たれたりすることがありますが、それも消化酵素が減っているのが理由の一つです。

たんぱく質が不足するとどうなるのか

たんぱく質は身体を作る上でとても重要な役目をしています。
たんぱく質が不足すると、筋力の低下、皮膚のトラブル、睡眠の質の低下、集中力低下のトラブルなどが懸念されます。
介護の場面では、歩行困難、皮膚のかぶれ、褥瘡(床ずれ)、認知機能の低下、うつ病などに繋がる可能性があります。

特に高齢になると脳の萎縮や脳疾患などで、本来の生理機能が発揮できず、うつ病になりやすいと言われています。
うつ傾向になると、食欲や運動量も減ってしまい、身体状態が悪化しやすいので、普段から栄養をとって、脳の機能を良い状態を保ちたいですね。

1日に必要なたんぱく質の量

たんぱく質の摂取目安ですが、身体活動レベルの低い人から高い人(ほとんど動かない人からよく動く人)まで、3段階の活動レベル別に設定されています。
そのなかでも、一番活動量の少ないレベル1の人を参考に推奨摂取量を引用してみました。

男性女性
50〜64(歳)77~110g58~83g
65〜74(歳)77~103g58~78g
75 以上(歳)68~90g53~70g
引用:日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書

70歳以上の男性であれば68~90g、70歳以上の女性であれば53~70gとなっています。

豚肉のロースや鶏肉のささみですと100gあたりに含まれるたんぱく質の量は約25~27gなので、
70歳以上の男性の推奨摂取量を満たすには、1日に250gほど食べる必要があります。

鶏卵(1個60g程)ですと、含まれるたんぱく質の量は約17g。
70歳以上の男性の推奨摂取量を満たすには、1日に4個以上食べる必要があります。

さすがにこの量のお肉やたまごを毎日食べるのが健康な人でも大変ですよね。
これはあくまで推奨値ですので、頭の片隅に置いておいてください。

効率良くたんぱく質を摂る

効率よくたんぱく質をとるには、たんぱく質の豊富な食材を積極的にとると良いでしょう。
たんぱく質が豊富な食材といえば、肉、魚、卵、乳製品、大豆製品が有名です。
スポーツ選手の方も豚ロース、鶏のささみ、鶏卵、大豆などをよく食べると聞きます。

こういった食品を積極的に摂取しながら、普段の食事にプロテインを追加する方法もあります。

馴染みのない人には「プロテイン」と聞くと「筋トレする人が飲んでる薬」みたいなイメージがあるかも知れませんが、決して怪しい薬ではなく、最近ではたんぱく質不足になりやすい高齢者向けの介護食用プロテインもあるくらいです。
筋トレをする人達は、筋肉や皮膚の生産にたんぱく質が重要なことを知っていますので、率先して摂取しているのです。

ちなみにプロテイン(英:protein)とは、日本語で「たんぱく質」のことです。

なぜプロテインがよいのか

高齢になって食が細くなったり、嚥下障害があると、食べること自体がかなり大変になってきますので、たんぱく質の一日の摂取目安をお肉や鶏卵から摂ると、結構な量を食べる必要があり負担になってしまいます。
プロテインなら介護食にまぜて摂取できるので、食事を作る人の手間の軽減と、誤嚥のリスクも下げられるのが良いと思います。

さらに吸収の面でもプロテインは優れています。
プロテインであれば、酵素の働きが弱くなった高齢者であっても吸収されやすい状態で、体に取り入れることができます。

どんなプロテインがいいのか

介護食向けに明治さんから販売されているメイプロテインという商品があります。

メイプロテイン

明治さんのプロテインといえば、有名な「SAVAS(ザバス)」がありますが、こちらは介護食向けのプロテインです。
他にも高齢者が手軽に栄養補給できるメイバランスも明治さんの商品です。
高齢者向けの商品も積極的に開発しているようですね。
お値段が一般的なプロテインよりお高いですが、とても使いやすいですよ。

写真は400gの大袋で3000円ほどしますが、少量の商品(6.3g×14包で800円~900円くらい)もありますので、最初はそちらを使ってみると良いと思います。
リンクを貼っておきますね。

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この記事を書いた人

1982年生まれ。 おばあちゃんに可愛がられて育つ。
脳梗塞で介護度5になってしまったおばあちゃんの介護を通して、感じたことを発信しています。

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