急な体重低下からの回復とうつ病

介護をしていて精神的に一番辛かったのが、おばあちゃんの体重低下でした。
1年間で約10Kg減ってしまい、目がほとんど開かず無気力で食欲もないため、口に入れてもなかなか飲み込めない様子でした。
このときの毎日不安でしたし、かなり焦りました。
そこから体重増加に成功したわけですが、その当時に実践したことを書いてみようと思います。

もし今、介護しているお歳よりが急に食が細くなり、
失意の中この記事に辿り着いた方のお役に立てればと思います。

ただし、これはあくまでうちのおばあちゃんのケースであって、
誰にでも当てはまるものではないので予めご理解ください。

体重の推移

もともとの体重が48.8kgで、1年後には38.9kgまで減ってしまいました。
そのさらに1年後には少し増え、2018年にはだいぶ回復することができました。
あまり体重が増えると心臓に負担がかかるので、現在は食事量を少し抑えています。

2015年10月 48.8kg
2016年10月 38.9kg
2017年10月 39.5kg
2018年10月 44.0kg ←今ココ

「体重が減る原因はなんでしょうか?」と主治医や看護師さんに聞くと
みなさん「歳だから仕方ない」と言っていました。
僕はこの言葉がとても嫌です。
本当は何か原因があるかも知れないのに、歳のせいにしたらそこで考えることがストップしてしまうじゃないですか。
本来助かる命を見捨てるような気がして受け入れられなかったです。

どのように食べられないのか

当時は「目が開けられない」「ずっと眠そうにしている」といった状態でした。
高齢者の痩せは「食べられるけど痩せる」とか「だんだん食が細くなる」というイメージでしたが、あきらかにそれらとは違う状態でした。
ミキサー粥を口に含んでも飲み込めない、お茶を含んでも飲み込めない。
そもそも、目も口が開かず眠そう。

原因は何か うつ病を疑ってみる

僕自身、自律神経失調症があり、ほとんど食事が出来ない時期がありました。
その経験から祖母はメンタル系の病気なんじゃないかと思うようになりました。

ネットや本などで調べたところ、高齢者は脳が萎縮しうつ病になりやすいこと、
脳梗塞の患者さんもまたうつ病になりやすいということが書いてありました。
思い当たることもあります。
おばあちゃんがときどき「もう死にたくなった」と言っていたのです。
認知症も失語もあるのですが、時々そうつぶやいていたのです。
脳梗塞になって右半身が動きにくくなり、食べ物の飲み込みもしずらい状況ですから、
当然、辛く悲しかったはず、あの時ちゃんと向き合ってあげればよかったと後悔しています。
もし、家族がそんな言葉を口にしたときは丁寧に話を聞いてあげてください。

病院に連れて行くことも考えたのですが、
認知症患者の場合、うつ病の判別が難しいということも書いてありました。
おばあちゃんは認知症や失語症があり、本人が自分の気持ちを
正確に伝えられるかというと難しいと思いました。

本来はお医者さんの治療を受けたいところではありますが、
家庭でできる範囲の環境改善をしていくことにしました。

まず接し方を工夫してみる

自分の経験を元におばあちゃんへの接し方を見直してみることにしました。
数年前にユマニチュードというケアメソッドが登場しました。
介護の現場の人が培ってきた接し方を体系化したものです。
しかし、中にはユマニチュードが全ての患者さんにマッチするとは限りません。

たとえば小学生の頃、演劇でどうしても主役がやりたいという人もいれば、
セリフのない木の役が絶対にやりたい!という人だって居たと思うのです。
つまり、目立ちたがりな人もいれば、引っ込み思案な人もいて、
その人の性格にあった接し方をご本人は求めていると想像しています。

今後、第二、第三のユマニチュードが登場し、
「この人にはこのメソッドで接してみて?」みたいな流れになると想像しています。

話が反れましたが、我が家で実践していたことをご紹介します。

・ネガティブなことを言ったときは傾聴する。
そして「いま辛いのは脳梗塞の後遺症で時間が経つとだんだん良くなるよ」と声を掛けました。
けれど必要以上に励ましてはいけない。

・家族が笑顔で楽しそうに生活をする。
介護をする環境作りの基本なのかも知れないですが、家庭でこれを実践するのは少し難しいかな。
けれどおばあちゃんの前では楽しそうに振舞うのです。
介護する人が楽しそうに生活をすることで、お年寄りが安心して生活できるようにします。

・目を覗き込まない、注視しない
ユマニチュードでは目をしっかり見ますが、うつ状態で覗かれるとプレッシャーになり、きっと辛いです。
自分は何か変なのかと思わせないために注視しすぎないようにします。
しかし見守りは必要です。

・会話は楽しく、けれどおばあちゃんの話題はあまりしない
これは説明するのが少し難しいですが、我が家の場合を例にあげると、
祖母、父、僕の3人でお茶を飲んでいたとして、祖母に「昔はあ~だったよね~」と話を振らないようにするということです。
話し掛けることは悪いことではないのですが、高度な返答をさせるのは失語のあるおばあちゃんにはストレスですので、
父と僕が主に話しをし、祖母はそれを楽しそうに聞いていられる状況を作るようにしました。

・他人と一緒に居る時間は大切だが短時間にする
上の例ではお茶を飲んでいましたが、そういった時間は必要ですが、長時間付きあわせないようにしました。
学校の授業で突然指名されるかも知れない状況は長くない方がいいのと似ているかも知れません。
それに「楽しいけど疲れる」ということだってありますので。

・一人の時間を作る
一人でボーっとテレビを眺めたり、何かこだわりのあることをさせてあげる。
精神的に孤独にさせるのは良くないですが、一人で居る時間に心が回復します。(自分の経験より)

・食事は少なくし食べられる量(沢山でてくると完食できるか不安でストレスになる)
健康な人は、色とりどりの食事が沢山でてくると嬉しくなりますが、
うつ傾向のある人は、そうとは限りません。
沢山でてくると「残さず食べなくては」というプレッシャーになります。
食べられる量を提供し、完食できたら「もう少し食べる?」と聞いてみるのが良いです。
完食できた喜びや達成感が自信に繋がります。
それに沢山ご飯を出しても食欲がなく食べられないので、お互いに良くないですよね。
後述しますが、カロリーメイトゼリーが嚥下障害のあるおばあちゃんとは相性がよく、
普段の食事を減らし、カロリーメイトゼリーを併用しました。

以上、我が家で行ったことの紹介してみました。
文章化するのは難しいですね。(汗)
他にもあったかも知れませんが、今お伝えできることを書き出してみました。
いずれ更新するかも知れません。

もし薬による治療方法が受けられるならそれも良いと思いますが、
環境が改善しないと再発してしまうこともあるようなので、
やはり環境作りが大切なのだと思います。

食事の工夫をしてみる

高齢者になると食べることだけが楽しみと言う人もいますが、飲み込みの状態が悪くなると、食事をするのも結構な苦労になり、途中で疲れてしまいます。
さらに通常食から極刻み食やミキサー食などの流動性が増す食事へと変えていくと、摂れる栄養の量に対してカサが増えます。
茶碗1杯のご飯を、おにぎりにするとカサは減りますが、おかゆにすると見た目が倍くらいの量に増えてしまします。

その結果どうなるかというと、

必要なカロリーを摂る前に、疲れるかお腹が一杯になってしまう

したがって安全な形体でかつ、少ない量で高カロリーの食事を心掛ける必要があります。

具体的な方法については後述します。

完食できたという達成感と完食できなかったという敗北感

自分の経験では、食事を提供してもらうという行為は時にプレッシャーになることがあると感じています。
例えば夫婦の場合ですと、お正月やお盆など奥さん方が旦那さんの実家に行くことがあるかと思いますが、そこで義理のお母さんが料理を出してくれたとき、妙なプレッシャーを感じることがあるのではないでしょうか?

本来は遠慮のいらない間柄の家族でさえ、認知症がある程度進んだ高齢者にとっては、他人に思えているかも知れません。
そういった状況では「知らない人が自分にご飯を作ってくれた・・・残さず食べなくてはいけない」とプレッシャーに感じてしまう人もいるかも知れません。
逆に何とも思わない人も、きっといるでしょう。

そういった高齢者の気持ちを考えると、食事の量が多いというのは本人のためになっているのかな?と疑問に思うのです。
それゆえに食事を全て食べられたときの達成感もあると思います。
完食できなかったときは敗北感(罪悪感)もあるかもしれません。

食事の量の判断はその時々で違うため、難しいですが、食事が負担にならずに食べられる量を提供することを心掛けるのは良い事だと思います。

食事を減らしてカロリーメイト・ゼリー(栄養を補助食品)で補う

僕が実際に行ったのは、食事を本来提供する量の50%くらいに減らし、完食できたらカロリーメイト(ゼリー)を食べるようにしました。
50%に減らした理由ですが、いつも50%ほどしか食べられないからです。
最初から完食できる量に減らし、そこからカロリーメイトを飲む(食べる)という感じです。
ゼリーの量ですが、本人が食べられる量です。
少しずつ食べてみて、まだ欲しそうなら好きなだけ食べるというようにしました。

カロリーメイト・ゼリーが良い理由

カロリーメイトのゼリーはトロミ具合がとてもよく、嚥下障害が中程度くらいの人なら食べられると思います。
(初めて食べるときは気をつけてあげてください)
カロリー量が高いのもポイントです。
カロリーメイトのゼリーは1本215g、カロリーは200kcalとなっていて、
少ない量でも高カロリーなのです。
現在では、同程度のカロリー量の補助食品が多くなっていますが、
2016年当時は高水準でした。
さらに、普段の食事では偏りがちな栄養もある程度補えるとこも便利なんですよ。

それ以外の栄養補助食品(エン○ュア、クリ○ール、メイ○ランス)も試してみたのですが、
甘すぎる、トロミがない、開けたら飲みきる必要がある、などの理由でおばあちゃんの口には合わなかったり、扱いにくかったのです。

高齢者が一日に必要なカロリー

ここで高齢者に必要なカロリーについて簡単に触れておきましょう。
以下は70歳以上の一日に必要な推定カロリーです。
身体活動レベルで異なり、レベルが高いほど活動量が多く、多くのカロリーを必要とされます。

男性
レベル1 1,850kcal
レベル2 2,200kcal
レベル3 2,500kcal

女性
レベル1 1,500kcal
レベル2 1,750kcal
レベル3 2,000kcal

引用:日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要|厚生労働省

おばあちゃんの場合、女性レベル1に該当しますので、一日で1,500kcalは必要となります。
70歳と90歳では活動量も大幅に違うので、この数字が当てはまるのかは疑問ですが、
あくまで目標値ということにしましょう。

ちなみに現在は、ほぼ寝たきりで、食事とトイレのときだけ座位の状態ですが、
食事で800kcal、カロリーメイトで200kcalで体重の減少はありません。

結果

接し方と食事を工夫するようになって数ヶ月、
最初は食事とカロリーメイトゼリーの併用が、栄養面で心配でしたが、
おばあちゃんのメンタルは目に見えて回復しました。
それに伴い食欲もでてきて、1年後にはモリモリ食べてくれるようになりました。<オーバーじゃなく
現在もカロリーメイトゼリーは続けています。 おばあちゃんが好んで食べてくれるので。

これらのことで、お年寄りの心のケアというものがとても大切だということを実感しました。
おばあちゃんの場合は脳梗塞の後遺症で苦しみ悩んでいたのだと思います。
失語があり伝えられない苦しみに気がついて上げられなかったことを後悔しております。
このページの情報が、少しでも誰かのお役に立てることを願っています。

参考書籍

うつ病に関して、ネット情報と書籍がとても参考になりました。
ネットの情報に関しては、それぞれ検索して頂ければ最新の情報を入手できるので、
あえてリンクははりませんが、書籍の方はご紹介させてください。

【老人性うつ】 和田秀樹 著
帯に『脳梗塞にかかると、うつ病が起きやすい』と書いてあり、これは読まなきゃ!と思い手に取りました。
この本の内容がおばあちゃんの症状と近かったので、確信とまでは行きませんが、
うつ病の可能性が高いのではないかと思うようになりましたので、興味のある方にはおすすめです。

【にほんごがこんなふうにみえたのよ! 39歳で脳出血! オレの片マヒ&失語な日常 】 山﨑明夫 著
サブタイトルの通り、片麻痺と失語症のある著者の体験記です。
片麻痺と失語症がある方は、今まで自分の苦しみを他人に伝える手段がなく大変もどかしい思いをしていたと想像できます。
それをご本人が自らマンガ形式で伝えているところが貴重です。
うちのおばあちゃんがどんな気持ちでいるのかを知る手がかりになりました。

大塚製薬 カロリーメイト ゼリー

大塚製薬のカロリーメイト ゼリー(アップル味)には本当にお世話になりました。(今も続けていますが)
この商品はグラムあたりのカロリー量が高く、エンシュア並みの性能です。
またものすごく甘いエンシュアに対して、カロリーメイトゼリーは程よい甘さ。
なによりゼリーという形態が嚥下障害のある祖母にはちょうど飲み込みやすく、
食欲のない時期はご飯を少なくし、不足分をカロリーメイトゼリーで補いました。
また、この商品の旧モデルのレビューに嚥下障害のある奥さんが、
このゼリーだけで生活しているというコメントを見て、
それならご飯を減らしてもカロリーメイトゼリーで補えるかもと思いました。
介護の補助食としておすすめです。

MCTオイル

栄養補助食品をアマゾンで探していたら「あなたにおすすめの商品」としてこのMCTオイルが表示されていたのが出会いでした。
当時、自分の中ではオイルを飲む事への抵抗はあったのですが、
色々調べてみるとMCTオイルが認知症にも効果があるという情報もちらほら見かけたのと、
カロリーの高いということもあって試してみました。
おそらく体重回復に貢献してくれたと思います。 あと便通も良くなりました。

【日進オイリオ MCTサロン】
https://www.nisshin-mct.com/contents/page201.html

大高酵素

友人の進めで介護を始める前から我が家では大高酵素を飲んでいたのですが、
高齢者にも良いらしくおすすめしておきます。
味は甘く、匂いもクセがありますが、酵素の中では飲み易い方かもしれません。
おばあちゃんの体重減少時には食欲もなく、あまり形のあるものが食べられなかったので、
カロリーメイトを飲んで、ヨーグルトと大高酵素だけということもありました。

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