おばあちゃんの嚥下の状態に合わせて、普通のご飯、お粥、ミキサー粥と形態を変化させてきましたが、とうとうミキサー粥でも食べにくくなってしまい、どうしたものかと色々調べていた時にスベラカーゼ(ゲル化剤)を見つけました。
スベラカーゼ粥にしてからはお粥のまとまりもよく、本人も食べやすそうですし、何しろ食べ終わるのが早い!
これは介護する側にも、される側にも良いので、皆さんにもお伝えできればと思いました。
なぜお粥をゲル化するのか
咀嚼や嚥下の状態が良くない場合、普通のご飯からお粥に移行します。
しばらくはしっかりしたお粥も食べられますが、さらに飲み込みが悪くなってしまったら、しっかりしたお粥から、だんだん水分を増やして、重湯に近い状態にしていきます。
しかし、重湯に近づくほどお米の量が減ってしまい栄養が不足しがちになってしまいます。
この問題を解決するためには、お米の量を減らさずに飲み込みやすいお粥が作れればいいのです。
スベラカーゼを使えば、お米の量はそのままで飲み込みやすいお粥を作ることができるのです。
お粥をゼリーにするって、どういうこと?
温かいお粥をミキサーにかけると、お餅のように粘ってしまいますが、そこに消化酵素のアミラーゼを加えるとサラサラの液体になります。
液体のご飯ですね。
液体のご飯にゼラチン(もしくは寒天)を入れて冷ますと、ご飯のゼリーができるというわけです。
この方法なら濃いお粥でも飲み込み安い状態が作れるのです。
飲み物にとろみ剤を使っている人も多いかと思いますが、とろみ剤はサラサラの水をドロドロにするイメージですが、スベラカーゼ(ゲル化剤)はプルンプルンになります!
まさにゼリーです!
(例えるとウィ〇ーインゼリーみたいな感じ)
では使い方を見てみましょう。
公式サイトのスベラカーゼ粥のレシピ
公式サイトに書いてある作り方を読むと、
1.70度以上のお粥をミキサーに入れます
2.お粥重量に対して 1~2%のスベラカーゼを入れます
3.1分以上攪拌します
4.盛り付けます
5.完成!
foodcareより ( https://www.food-care.co.jp/products/jelly/suberakaze.html )
(70度前後で固まり始めます)
こんな感じで書いてあります。
この作り方が正しいのですが、「お粥重量に対して 1~2%のスベラカーゼを入れます」と言われても分かりにくいので詳しく解説します。
使用量の目安である1~2%とは
スベラカーゼの使用量(分量)を見ると食品の1~2%と書いてあります。
料理を作るたびにスベラカーゼを量りで計るのは面倒なので、
計量スプーンでスベラカーゼをすくうと何グラムになるのか知っておくと便利です。
スベラカーゼは大さじ1杯で7グラム、小さじ1杯で3グラム、小さじ1/2杯で1.5グラムになります。
大さじ1(15cc) 7グラム
小さじ1(5cc) 3グラム
小さじ1/2(2.5cc) 1.5グラム
次に実際のレシピを見てみましょう。
お粥の量から小さじ何杯のスベラカーゼが必要か計算してみる
お粥を炊いたときに、小さじ何杯のスベラカーゼを入れれば良いかまとめてみました。
1合のお米からスベラカーゼ粥を作るレシピ
・お米 180ml(1合 1カップ グラムなら150g)
・水 1100ml
・スベラカーゼ 小さじ 4杯
お粥の量に対して、1%のスベラカーゼは小さじ何杯なのか求める式は
( お米のml + 水のml ) ÷ 300
で計算できます。
上のレシピなら、( 米180 + 水1100 ) ÷ 300 = 4.26
少数以下は切り捨てで、小さじ4杯ということになります。
炊いたお粥1食分をスベラカーゼ粥にするレシピ
・お茶碗1杯(150グラム)のお粥
・スベラカーゼ 小さじ 1/2杯
炊いたお粥にスベラカーゼを入れる場合は、
( お粥のグラム ) ÷ 300
上のレシピなら、( お粥150グラム ) ÷ 300 = 0.5
小さじ1/2となります。
この計算式は7分粥用の簡易的なものですが、覚えておけばお米やお粥の分量の増減があっても応用できるので便利です。
余談ですが、介護食を一人分作るときに 小さじ1/2(小さじ半)があると便利です。
大さじと小さじは持っていたのですが、新たに小さじ1/2を購入しました。
スベラカーゼを小さじ1/2すくって、すり切ればすぐ使えるので、
忙しい時でもサッと軽量できて便利ですよ。
電子レンジで作るスベラカーゼ粥
一度作っておいたお粥を一食分ずつ電子レンジで加熱する方法です。
この方法は1食分だけスベラカーゼ粥にするときに便利です。
1.お粥をお皿にとります。
約170グラムです。(計測前にお皿の重さをマイナスしてから測りに乗せています)
冷蔵庫に入っていたおかゆです。
2.ラップをして電子レンジに入れます。
1000Wで1分40秒。
もしくは500Wで3分10秒。
3.お粥を電子レンジから取り出します。
電子レンジに入ってる写真を撮り忘れました(汗)
取り出した時には、グツグツしています。
この段階で表面の温度を測ってみると、74.7 ℃
内部の温度はもう少し高いかもしれません。
4.スベラカーゼを小さじ1/2よりちょっと多めに入れます。
少しこんもりすくって、これがだいたい1.7グラムです。
5.ハンディブレンダーで混ぜます。
スベラカーゼを入れたらすぐ混ぜてください。
時間をおくとスベラカーゼがダマになります。
お粥のつぶつぶ感がなくなればOKです!
この段階で表面温度を測ってみると約57℃ でした。
まだ、サラサラした液体ですが、徐々に固まり始めます。
6.茶碗に盛って完成です!
茶碗に移すことで、さらに温度が下がるので、ゼリー化が進んで、プルンプルンになります!
最初はこの方法で作ってみて、慣れてきたら大量に作って保存するのもいいでしょう。
スベラカーゼ粥は冷凍しても大丈夫なんです。
スベラカーゼの味や色や匂いはどんな感じかというと
おかゆに使用した場合ですが、色も味もほとんど変わりません。
酵素で分解しているため、理屈の上では若干甘みが増しているはずです。
(ご飯を噛んでいると甘く感じるのと同じ現象)
おかゆの中におかずが溶け込まないので、おかずの味がより鮮明に感じます。
介護食は薄味なことが多いですが、おかずの味がわかるので喜ばれると思います。
使用前の粉の状態は白い粉と薄っすら茶色い粉が混ざっていて、少し匂います。
出来たてよりも、数時間置いた方がなめらかになるような気がします。
ハッキリと違いを感じるわけではないですが、もしかしたら酵素の反応が少し進むのかもしれません。
固まらないときの原因について
スベラカーゼの量が少ない
スベラカーゼの使用料は食材に対して1~2%と書いてあります。
量が少ないと固まりが弱く口の中でまとまらなくなってしまいますし、多いとシッカリ固まって飲み込みにくくなってしまいます。
何回か作ってその食材にあった固まり加減を覚えるのがいいのですが、最初に作るときはスベラカーゼが食材の1.5%くらいになるように使ってみるといいと思います。
十分な温度まで加熱できていない
しっかり反応させるには食材を70℃以上に加熱する必要があります。
電子レンジで温める場合、お粥がグツグツするくらい温めてください。
最初は温度計で測って見るといいと思います。
食材がしっかり加熱されている場合は、ミキサーにかけたときにサラサラの液体になり、その後温度が下がるとプルプルになります。
もしミキサーにかけた段階でドロドロしていたら、温度が低いかスベラカーゼの量が少ない可能性があります。
温度が低いとプルプルに仕上がらないので、その時は再度加熱すれば大丈夫です。
やり直しがきくので恐れずにチャレンジしてみてください!
メーカー公式のレシピではお粥の攪拌にミキサーを使っていますが、僕はお粥を炊いた鍋にスベラカーゼを入れ、ハンディブレンダーで攪拌しています。
この方法の良い所は、お粥の温度が低くてもすぐに加熱できるメリットがあります。
食材に塩分が多く含まれている
メーカーのサイトには塩分を多く含む食材に使用する場合は、
スベラカーゼを多めに入れると固まりやすくなると書いてありました。
塩分が多いものを固める場合は、スベラカーゼを少し多めにしてみると良いかもしれません。
お粥を作るときの水分が少ない
お粥を作るときの水分が少ないと、スベラカーゼ粥にしたときにボテッっとした仕上がりになってしまいます。
そんなときはお粥を温める前に水を足してみてください。
嚥下の機能が落ちてくるとプルプル食感の方が飲み込みやすいですし、
水分が多めのお粥の方が上手く仕上がるので良いことばかりなのですが、
なるべくお米を食べて欲しいから、ついつい濃い目のお粥を作っちゃうんですよね。
現状ではネット通販でしか入手できない
スベラカーゼはすごく便利だけど売っているお店が少ないんです。
僕の住んでいる市内のドラッグストアや介護用品をレンタルしているお店で、スベラカーゼを扱っているところはありませんでした。
お店の人も、トロミ材なら知ってるけど、ゲル化剤は知らないという感じで、知名度はいまいちのようです。
メーカーのホームページでも通販はやっていなため、僕はアマゾンで購入しています。
マーケットプレイスですが、これなら安定して購入できます。
ランニングコストと消費期限
150グラムと1キログラムの商品があり、1キログラムの方が割安ですが、
初めて使う場合は小さい方からスタートしてみると良いかも知れないです。
ちなみにアマゾンで1キログラムを買ったときの消費期限は購入日から10か月後でした。
何度か購入していますがやはり10カ月くらいです。
一食1.5グラムを一日3回使うと、222日(約7か月半)で約1キログラム消費しますので、毎食使えば使い切れます。
スベラカーゼはお粥だけでなく、スープに使っても良い感じに仕上がりますので、新たなレシピを開発してみるのもいいかもしれません。
スベラカーゼ粥にプロテインをプラスする
肉類はペースト状に加工するのが難しいため、嚥下の状態が悪くなるとともに動物性のタンパク質が不足しがちです。
そこでスベラカーゼ粥に、プロテインを追加することで手軽にたんぱく質を補給することができます。
我が家ではスベラカーゼ粥に明治のメイプロテインを混ぜて摂取しています。
150gのお粥で小さじ1杯くらいのプロテインを入れていますが味は殆ど変わりません。
左がスベラカーゼの粉、右がメイプロテインの粉です。
スベラカーゼに比べると、ちょっと黄色いです。(写真が下手でごめんなさい)
左がメイプロテインなしのスベラカーゼ粥で、右が150gのお粥に小さじ1杯のメイプロテインを混ぜたところです。
撮影用に大さじ1杯だけ取り分けて比較しています。
色は若干メイプロテイン入りの方が白いのですが、ほとんどわからないと思います。
食感が多少変化があり、スベラカーゼのプルっとした食感からプシュっとした食感になります。(言葉で伝えるのは難しいですが)
スベラカーゼ粥が食べられるなら、大丈夫だと思います。
沢山入れるとペタッとした感じになりますので、少量使うのがコツです。
食器のお粥はがれがよくなるので、飲み込みやすさにも多少違いがあると思います。
うちのおばあちゃんに関しては、メイプロテインを入れても飲み込みが悪くなるということはありませんでした。
スベラカーゼ粥にプロテインを混ぜるタイミング
冷蔵庫で冷えているスベラカーゼ粥を食べる分だけ茶碗にとり、小さじ1杯程度のメイプロテインを入れて、ミキサーにかけてから電子レンジで温めています。
少量のメイプロテインであればスプーンで混ぜてもオッケーです。
お粥の温度が高いとダマになってしまうので、冷たい状態で混ぜてから温めると良いですよ。
たんぱく質の必要性
たんぱく質が筋肉の素になることはよく知られていますが、脳の成長やホルモン、体内酵素の生成に欠かせない栄養素です。
やる気を出す、気持ちを静める、夜にしっかり眠るなど、僕たちの日常生活は常に脳の神経伝達物質によって健全に保たれていますが、これらもたんぱく質(たんぱく質を分解したアミノ酸)を素に作られています。
メイプロテインは、たんぱく質の他にも亜鉛や鉄を含んでいますので、高齢者に多いうつ症状の改善にも役立つのではと期待して使っています。
まとめ
お粥をゲル化するメリットは飲み込みの安全性向上だけでなく、食べる時間の短縮や、おかずの味が薄まらないといった効果も得られます。
手間は増えてしまいますが、介護する側も低栄養などの不安が減るため、安定して食事がとれるということは何物にも代えがたい喜びなのだと感じています。
少しでも安全で楽しい食事が続けられるように試行錯誤していきたいですね。
このページの情報が頑張って介護されている多くの家族のお役に立てれば嬉しいです。